日本の美しい雨の名前
2018-06-06
小松絵画教室 暇つぶしの美学
雨の名前が五月雨(さみだれ)から梅雨へと変化していく6月。
この時期は毎日、天気予報はかかせないものとなります。
明日は雨か、洗濯物はどうなのか…
そんな「鬱陶しい雨」をちょっと深く知ってみませんか?
今回は少し『日本の美しい雨の名前』をご紹介していきます。
●梅雨(つゆ)

「梅雨」が梅の実が熟す頃に降る雨のことはご存知の方も多いと思います。
鹿児島の一部の地域では、梅雨のことを「梅時雨」といいます。
江戸時代では「梅の雨」という言葉で、俳句などに用いられてきました。
他にも梅雨入りのことを「栗花落(ついり)」と表現したりします。これは、この頃栗の花が散るのでこういう言葉も生まれたようです。
●雨も晴れもすべてが恵み

昔も今も、雨という気象に人々は悩まされてきました。
現代はどちらかというと降りすぎて困る雨ですが、
昔は降らないことが大変な事でしたので、日本には古来より《雨乞い》というものがあります。
雨乞いとは、神々に雨が降るよう、歌や踊りなどを奉納する・お祈りする儀式のようなことをいいます。
その中で面白いエピソードを一つご紹介します。
かの有名な小野小町の伝説の一つに『雨乞小町』というものがあります。
ある時期日照りが続き、神々に奉納する雨乞いの歌を求められ
依頼された小野小町はこの歌を詠みます。
"ちはやぶる 神もみまさば立ちさはぎ 天の戸川の樋口あけたまえ"
この和歌を詠じて雨を祈ったところ、たちどころに雨が降り出したという話です。
その後この和歌を原歌として江戸時代に狂歌が詠まれました。
"ことわりや 日の本ならば照りもせめ さりとてはまたあめが下とは"
小野小町には他にも数々の伝説があります。
絶世の美女の一人として有名ですが、人の姿を借りた〝何か″でもあったのでしょうか…。
謎の部分があるというのも、魅力の一つですね。
●いろんな天気雨

雨の種類に「お天気雨」というものがあります。
「お天気雨」とはその名の通り、晴れているのに雨が降っていることをいいます。
これにも様々な呼び方があるようです。
『狐雨、狐の嫁入り』(狐は人を騙し、からかうという言い伝えからきた言葉だとか)
『日照雨(そばえ)』『日照り雨』『天泣(てんきゅう)』『天道雨(てぃだあみ)』『化雨(ばけあめ)』など名前があるようです。
天気雨は虹が出ることがあります。
雨でもこれくらいなら…と許せる人が多いのではないでしょうか。
●恵みの雨

なかなか降らなかった後に降る雨にもいろいろな名前があります。
『喜雨(きう)』…長い日照り続きの後に降る雨。
『慈雨(じう)』…旱魃(かんばつ)の時に田畑や大地をうるおす恵みの雨。転じて万事をうるおし、育む雨。
『早天の慈雨(かんてんのじう)』…「早」は日照り。日照り続きだったところに降る雨。
他にも秋田県地方のほうでは、同じ日照り続きの後に降る雨を『宝雨(たがらーめ)』と呼ぶのだそうです。
●美しい雨の名前

夏の雨の名前で美しい雨の名があります。
『翠雨(すいう)』…色鮮やかな青葉をよりつややかにしてそそぎ降る初夏の雨。
『青時雨(あおしぐれ)』…青葉・若葉が綺麗なこの季節、その青葉からしたたり落ちるしずくを、時雨に見立てた風情のある言葉。
『青葉雨(あおばあめ)』…青時雨と同じく、初夏の青葉をいっそうつややかに見せる雨。
いかがでしょうか。
雨の日は気分が下がることも多いと思います。
それは昔も今も、人の思うことは同じのようです。
しかし想像力を働かせ、そこにあるもの、感じたことを雨の言葉や名前にしている日本人はとても素敵だなと、改めて思います。
鬱陶しい今日の雨も、誰かにとっては恵みの雨かもしれませんね。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。